アルバルク東京(ALVARK TOKYO)のInstagram運用を分析|伸びている理由と、真似できるポイント【2026年版】
2026/9/30
アルバルク東京とはどんなクラブか
アルバルク東京は、東京都をホームタウンとするB.LEAGUE(B1)所属のプロバスケットボールクラブです。前身は実業団チームの「日本電気(NEC)バスケットボール部」で、2016年のBリーグ開幕にあわせて現在のクラブ名になりました。国内トップリーグの中でも強豪として知られ、企業スポーツからプロクラブへと生まれ変わった経緯を持つ点も特徴です。
公式サイトによると、アルバルク東京はInstagramを中心に、X(旧Twitter)、LINE、YouTube、TikTok、Facebookなど複数のSNSプラットフォームで公式アカウントを運用しており、さらにチーム本体のアカウントとは別に、公式マスコット「ルーク」やチアリーダーチームの専用アカウントも用意されています(出典:アルバルク東京公式サイト「SNS公式アカウント一覧」)。1つのアカウントに情報を詰め込むのではなく、発信目的ごとにアカウントを分けて連携させる「ネットワーク型」の運用体制を敷いていることが、まず押さえておきたい構造的な特徴です。
「SNS担当になったものの、何を投稿すればいいのか毎回悩んでしまう」「フォロワーは増えるけど、コメントやシェアなどの反応が薄い」「競合や他業種のアカウントを見ても、結局“中の人”のセンス頼みに見えてしまい、自社にどう応用すればいいか分からない」——こうした悩みは、企業SNS担当者や店舗オーナーの多くが一度は抱えるものです。特にスポーツクラブのように「試合結果」「選手」「グッズ」「イベント」など発信ネタが多岐にわたる組織のアカウントは、情報量が多いぶん運用の「型」が見えにくく、参考にしづらいと感じる方も少なくないでしょう。
一方で、アルバルク東京の公式Instagram(@alvark_tokyo)は、試合速報だけにとどまらない多層的な発信構造と、クラブとしての世界観づくりによって、ファンとの接点を丁寧に積み重ねているアカウントです。この記事では、公開情報をもとにアルバルク東京のInstagram運用を分解し、業種を問わず応用できるポイントに落とし込みます。SNS運用に正解はありませんが、「型」を知ることで自分たちのアカウントに何を取り入れられるかが見えてくるはずです。

なぜ今、企業がスポーツクラブのSNS運用から学ぶべきか
「スポーツクラブと自社のビジネスは違うから参考にならない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、SNSを取り巻く環境そのものは業種を問わず共通しています。総務省の「令和6年通信利用動向調査」によれば、インターネット利用者のうちSNSを利用している人の割合は81.9%に達しています(出典:総務省「令和6年通信利用動向調査」)。もはやSNSは一部の若年層だけのツールではなく、生活者との接点として無視できないインフラになっているということです。
また、B.LEAGUE公式サイトの発表では、2023-24シーズン前半終了時点でWebアクセス・SNS・来場者数などのマーケティング指標が軒並み過去最高を記録したことが報告されています(出典:B.LEAGUE公式サイト「B.LEAGUE2023-24シーズン前半終了時点でのマーケティングデータを公開」)。リーグ全体としてデジタル接点への投資と成果が積み上がっている中で、各クラブのSNS運用の巧拙が、ファンとの関係構築に直結する時代になっているのです。
実際、Bリーグでは毎年「B.LEAGUE AWARD SHOW」において「ソーシャルメディア最優秀クラブ」が表彰されており、2024-25シーズンは千葉ジェッツふなばしが3年連続5回目の受賞を果たしました。同クラブが公表したプレスリリースによれば、X・Instagram・TikTok・YouTube・Facebook・LINEを合計した主要SNSのフォロワー数は2025年6月4日時点で1,036,881人に達し、Bリーグ全体で最多だったとされています(出典:株式会社千葉ジェッツふなばし プレスリリース/PR TIMES配信)。これは、日々の地道な発信の積み重ねが、クラブの認知やファンベース拡大に直結することを示す好例といえるでしょう。アルバルク東京もこうしたリーグ内の競争環境の中で、独自の発信スタイルを築いているクラブの一つです。
アルバルク東京のInstagram運用を支える3つの柱
公開情報を整理すると、アルバルク東京のSNS運用には大きく3つの柱があると読み解けます。
1つ目は「クラブ公式アカウント」による情報発信のハブ機能です。 試合結果やハイライト、選手情報、イベント告知など、ファンが知りたい一次情報を集約する役割を担っています。
2つ目は「マスコット・キャラクターアカウント」による親しみやすさの演出です。 アルバルク東京の公式マスコット「ルーク」は、趣味に「バスケットボール観戦」と「Instagram」を掲げるキャラクター設定がなされており(出典:B.LEAGUE公式サイト マスコットプロフィールページ)、クラブ本体とは異なる、より柔らかいトーンでの発信を担っています。マスコット自身がカフェの準備や楽曲リリースなど、独自の“活動”を展開している点も特徴的です。
3つ目は「チアリーダーなど周辺コンテンツのアカウント」による多面的な魅力発信です。 試合そのものだけでなく、試合会場を彩るエンターテインメント要素も独立した発信チャネルを持つことで、バスケットボール観戦に馴染みのない層にもクラブの魅力を届けやすくしています。
この「本体+キャラクター+周辺コンテンツ」という三層構造は、企業や店舗のSNS運用にもそのまま応用できる考え方です。例えば、企業アカウント1つに全ての発信を詰め込むのではなく、「商品・サービス情報」「スタッフやキャラクターの人柄が伝わる発信」「イベントやコミュニティ的な発信」を役割分担させることで、フォロワーが求める情報にたどり着きやすくなります。
投稿の「型」を分解する
アルバルク東京のInstagram投稿を内容面で見ていくと、いくつかの「型」に整理できます。試合前後のタイミングでは試合結果や見どころを伝える速報系の投稿、練習拠点やクラブハウスでの様子を伝える密着ドキュメント系の投稿(例:新クラブハウスでの初練習に密着した動画コンテンツ)、選手本人が語るインタビュー形式の投稿、そしてプレー集としてのハイライトリールなどが公開されています。
これらは単発のバズを狙うものではなく、「試合を見ていない人でもクラブの日常を追いたくなる」ための継続的な接点づくりとして機能していると考えられます。特に、選手個人にフォーカスしたコンテンツは、チームというマクロな存在を、個々の選手という顔の見える単位に分解し、ファンが特定の選手を応援したくなる入り口をつくる役割を果たしています。
これは店舗や企業のアカウントにも転用できる発想です。「会社」や「ブランド」という大きな主語だけで発信を続けると、フォロワーは感情移入しにくくなります。スタッフ個人や商品開発の裏側など、顔の見える単位にコンテンツを分解することで、共感や応援の気持ちが生まれやすくなります。
世界観のつくり方――クラブスローガンとビジュアルの一貫性
アルバルク東京は、クラブスローガンとして「WE」を掲げ、クラブを中心に「WEの輪」を広げていくというコンセプトを打ち出しています(出典:アルバルク東京公式サイト)。この一貫したメッセージは、単発の投稿デザインだけでなく、ハッシュタグの使い方やキャプションのトーンにも反映されやすく、フォロワーが「このアカウントらしさ」を認識する土台になります。
SNS運用において世界観の一貫性が重要なのは、投稿ごとに雰囲気がバラバラだと、フォロワーがアカウントに対して抱くイメージが定まらず、記憶に残りにくくなるためです。逆に、スローガンやビジュアルトーンが一貫していると、フィード全体を眺めたときの「ブランドらしさ」が強化され、フォロー継続の動機にもつながります。
企業や店舗のアカウントであれば、自社のミッションやコンセプトを一言で表すスローガンを決め、投稿デザイン・トンマナ・ハッシュタグにそれを反映させることが、世界観づくりの第一歩になります。
エンゲージメントを生む仕掛け
複数アカウントを連携させる運用は、単にチャネルを増やすだけでなく、エンゲージメントを高める仕掛けとしても機能します。マスコットアカウントがクラブ本体の投稿と異なる柔らかいトーンで発信することで、試合結果に関心が薄いユーザーとの接点を新たに生み出せますし、チアリーダーなど周辺コンテンツのアカウントは、会場の熱量や非日常感をより直接的に伝える役割を担います。
また、マスコット「ルーク」がカフェの企画や楽曲リリースといった“キャラクター自身の活動”を展開している点も見逃せません。これは、キャラクターを単なる「アイコン」ではなく「独立した発信主体」として扱うことで、ファンがキャラクターの活動そのものを追いかけたくなる仕掛けになっています。
こうした施策は、他業種でも応用可能です。例えば、店舗の公式キャラクターやブランドマスコットに独自のSNSアカウントを持たせ、商品情報とは異なる切り口(日常の一コマ、スタッフとの掛け合いなど)で発信することで、フォロー動機を複線化できます。
業種を横断して見える示唆――B.LEAGUEクラブ全体の競争環境から
Bリーグでは、前述の通り「ソーシャルメディア最優秀クラブ」という表彰制度が設けられており、各クラブがSNS運用に本気で取り組む土壌があります。千葉ジェッツふなばしの事例のように、複数プラットフォームを横断してフォロワーを積み上げているクラブが存在する一方、アルバルク東京のように「本体・マスコット・周辺コンテンツ」を役割分担させる構造で発信しているクラブもあり、正解は一つではないことが分かります。
重要なのは、フォロワー数という結果指標だけを模倣するのではなく、「なぜその運用体制を敷いているのか」という設計思想を読み取ることです。以下は、今回分解した要素を自社に置き換えて考えるための整理表です。
| アルバルク東京の要素 | 役割・狙い | 自社アカウントへの応用例 |
|---|---|---|
| クラブ公式アカウント | 一次情報のハブ、信頼性の担保 | 商品情報・お知らせを集約するメインアカウント |
| マスコット「ルーク」アカウント | 親しみやすさ、感情的な距離を縮める | ブランドキャラクター/スタッフ発信のサブアカウント |
| チアリーダー等周辺コンテンツ | 非日常感・エンタメ性の訴求 | イベントやコミュニティ活動専用の発信枠 |
| クラブスローガン「WE」 | 世界観・メッセージの一貫性 | 自社のミッションを一言で表すタグライン |
| 密着・インタビュー系投稿 | 「顔の見える」共感ポイントづくり | スタッフの日常や商品開発の裏側の発信 |
明日から試せる実践チェックリスト
分析から得られた考え方を、実際の運用に落とし込むためのチェックリストをまとめます。自社のアカウント運用を見直す際に、上から順に確認してみてください。
- 自社の発信目的を役割ごとに分解できているか確認する:メイン発信・キャラクター発信・イベント発信など、1つのアカウントに複数の目的を詰め込みすぎていないかを棚卸しする。
- スローガンや一言メッセージを言語化する:自社やブランドを一言で表す言葉を決め、プロフィール文や投稿キャプションに繰り返し使う。
- 「顔の見える」コンテンツを月1本は入れる:スタッフ、職人、担当者など個人にフォーカスした投稿を定期的に企画する。
- 投稿の型を3〜4種類に整理する:お知らせ系、密着・裏側系、インタビュー系、まとめ・ハイライト系など、繰り返し使える型をテンプレート化する。
- ビジュアルトーンを統一する:色味、フォント、ロゴの配置など、フィード全体で一貫性が生まれるルールを簡単でよいので文書化する。
- キャラクターやサブアカウントの活用を検討する:メインアカウントと異なるトーンで発信できる余地がないか、既存のキャラクターやスタッフ個人アカウントの活用可能性を洗い出す。
- 月次で「型ごとの手応え」を振り返る:フォロワー数の増減だけでなく、コメントやシェアの起きた投稿の型を振り返り、次月の企画に反映する。
数字の目標設定よりもまず、「発信の役割分担」と「一貫した世界観」を整えることが、継続的なファンとの関係構築の土台になります。
まとめ
アルバルク東京のInstagram運用を分解すると、試合結果やハイライトを届ける公式アカウントに加え、マスコット「ルーク」やチアリーダーなど周辺コンテンツのアカウントを役割分担させながら連携させる、ネットワーク型の発信構造が見えてきます。さらに、クラブスローガン「WE」に象徴される一貫した世界観づくりや、選手個人にフォーカスした「顔の見える」コンテンツが、ファンとの継続的な接点を生み出しています。
総務省の調査が示す通りSNSは生活者にとって既に当たり前のインフラであり、Bリーグ全体でもSNS運用への注力が成果につながっている事例が報告されています。フォロワー数という結果だけを追いかけるのではなく、「なぜその発信体制なのか」という設計思想を自社に引き寄せて考えることが、SNS運用改善の第一歩になるはずです。unyouでは、業種ごとのSNS運用事例を集めたデータベースを公開していますので、自社に近い業種の事例もあわせてチェックしてみてください。
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